大山整経さん訪問 [ 21世紀銘仙・Index伊勢崎銘仙・全体案内 ]  [ Home ]



いせさき併用絣を紡ぐプロジェクト

大山整経さん訪問

整経機仮織り機と仮織りつなぎ
更新日:2016/1/23
■日時:2016年(平成28年)1月19日。14:00〜18:30
■場所:大山整経さん(群馬県伊勢崎市)
■訪問者:新井 正直さん(古布蒐集/染織史研究)、上岡(Go!伊勢崎)
■内容
 全国的に今季最強の寒波が到来し、ここ伊勢崎市でも大雪が降った1月18日。翌19日もまだ融け切らぬ雪に覆われた伊勢崎市安堀町。大山仙八さん(*1)は、奥様と一緒に工場の事務室を温かくして待っていてくれました。
 今回のプロジェクトで大山さんにお願いしている作業工程は「整経」と「仮織り」。同行していただいた新井正直さんは、元群馬県繊維工業試験場の職員さんで、現在は古布蒐集家や染織史研究家として活躍されています。大山さんと新井さんとが、糸や織りの作業に関する専門用語を交えながら話す内容は、私に取って大半が宇宙の言葉。時々理解できる内容に取りすがりながら話を聴く私にも、大山さんは懇切丁寧に説明してくださいます。


大山仙八さん(大山整経さんの事務室にて)
 話は多岐にわたり、伊勢崎銘仙が華やかかりし時代のこと、当時の機屋(はたや)さんや職人さんたちのこと、イセボウ(*2)が操業中の頃には整経の下請け工場として動いていたこと、伊勢崎銘仙の多くの会社が次々に廃業して消え去ったこと、大山さん自身もその荒波に揉まれて大きな被害にも遭ったこと、夫婦で活路を見出すべく様々な挑戦をし続けていること、現在は奥様と一緒に毎日のようにこの工場で過ごし、草木染めや機織りなど、趣味としての生活を楽しんでいることなど、楽しい話が次々に湧き出て、時間がどれだけあっても足りません。
 この日、様々な話題が尽きぬ中、仮織り機の実稼働状況や”つなぎ”の実演、整経機や糸巻き機など、現役で稼働するいくつかの機械を見せていただき、お暇したのが夕方6時半。何と最初の訪問で4時間半もお邪魔しましたが、感覚的にはあっという間の時間でした。

 大山整経さんには、今回のプロジェクトの各工程で、度々お邪魔することになると思います。その時々にエピソードなどを加えてお伝えしたいと考えています。
取材・撮影・記録:上岡(Go!伊勢崎) 2016/1/23 記

(*1)大山仙八さん(昭和8年(1933年)7月14日)。高校卒業と同時にこの道を歩み続けて経歴65年。
(*2)イセボウ:現在の美原記念病院(伊勢崎市太田町)の東辺りにあった紡績工場。地元では”イセボウ”と呼んでいましたが、正式名称は未確認。「伊勢崎紡績」かも知れません。

▲ページTopへ

整経機

 今回の訪問では、整経機は形状のみの紹介です。併用絣の制作工程(→こちらを参照)において、整経は糸繰と仮織りとの間の作業になります。整経作業時には再度訪問して、動画で紹介します。

▲ページTopへ

仮織り機と仮織り

 併用絣の制作工程(→こちらを参照)において、仮織りは整経と捺染加工との間の作業になります。仮織りは経糸の間に長いピッチで斜めに緯糸を挟んで行く作業で、経糸の横幅を保持し、不陸を抑えるための仮織りです。
 今回の併用絣の本作業時には再度訪問して改めて紹介しますが、今回、別の糸を使用して稼働させていただきましたので、動画で紹介します。

仮織り稼働状況。大山整経さんにて。2016/1/19(1分2秒)


仮織機(大山整経さん)

仮織機(大山整経さん)

▲ページTopへ

つなぎ

  つなぎ作業は仮織り機の前段作業。左右に分けた糸の束(かぶつ)の先端から、指の先で糸を一本ずつつまんで引っ張り出し、僅かな長さをラップさせて親指と人差し指でクルッと捩じってくっ付けます。
 工場がフル回転の時代には、つなぎ作業は下請けさんに頼んでいたとのことですが、下請けさんも徐々に引退し、仕事量が減る頃から自分で作業するようになったとのことです。
 全盛時には1時間に1,260本をつないだとのこと。1分で21本、1本当たり約3秒です。目の前で熟視していても、早過ぎて動きを確認できません。動画で紹介します。目を凝らしてご覧ください。


つなぎの実演。大山整経さんにて。2016/1/19(4分42秒)


つなぎ作業

つなぎ作業

▲ページTopへ

ふのり

 ふのり(布海苔)は海藻の一種で、水に溶かして経(たて)糸の糊付けで使用します。


当サイトのコンテンツを無断でコピーすることを禁じます




▲ページTopへ