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いせさき併用絣を紡ぐプロジェクト

経糸(たていと)の捺染加工

図案別捺染の様子(赤いレンガ造りツツジ、時報塔)|新聞紙エピソード3捺染作業場色の調合と確認
更新日:2016/4/13
■日時:2016年(平成28年)3月1日ほか
■場所:石井捺染(なっせん)さんの捺染工場
■制作者:石井広実さん、石井茂夫さん
■内容:併用絣3図案の経糸(たていと)の捺染加工
 捺染加工とは、併用絣制作工程において、整経(→記事はこちら)を終えた経糸(たていと)や緯糸(よこいと)に対して、型紙を使用して色を染めて行く作業のことです。
 型紙は版画と同様に色の数分あり、捺染もその数分繰り返して色を重ねます。色を重ねて染めるために、色ごとに型紙の位置がズレないこと、長手方向のリピートの継ぎ目がピッタリ重なるようにすること、柄が横方向にもズレないこと、また染料が糸の裏側にも回ること、染めムラが出ないようにすること、染料を散らしたりこぼしたりしないことなど、集中力と技術を要しますが、石井さん父子お二人の作業は、これらのことを気付かせない速さで休むことなく進みます。まさに熟練の技です。
 今回の3図案に用意された型紙は下記の通りですが、この内、「赤いレンガ造り」については、サンプル長を利用して3色と4色とに捺染して比較検討し、その結果、薄いアイボリー系の色については捺染しないこととなりました。3色の方が、他の色が映えてインパクトある柄になるためです。
 赤いレンガ造り・・・4色→3色、ツツジ・・・6色、時報塔(じほうとう)・・・ 4色

取材・撮影・記録:上岡(Go!伊勢崎) 2016/3/23 記

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赤いレンガ造り」の捺染加工


「赤いレンガ造り」の捺染加工。石井捺染さん(3分51秒) 2016/3/1


「赤いレンガ造り」を捺染する石井広実さん 2016/3/1

「赤いレンガ造り」を捺染する石井広実さん 2016/3/1

「赤いレンガ造り」を捺染する石井茂夫さん 2016/3/1

「赤いレンガ造り」の捺染を終えて箱に巻き取る石井広実さん 2016/3/1

掲載日:2016/4/13 ▲ページTopへ

ツツジ」の捺染加工


「ツツジ」の捺染加工。石井捺染さん(7分41秒) 2016/3/9

掲載日:2016/4/13 ▲ページTopへ

新聞紙エピソード3

新聞紙エピソード1,2
 伊勢崎銘仙・併用絣の製造工程の内、捺染加工では下記2段階で新聞紙を利用します。
(1)捺染台の上(糸の下)に敷く新聞紙
(2)捺染を終えた糸を箱に巻き取る時、糸の間に挿入する新聞紙

 今回、上記2段階において、上毛新聞さんからいただいた白紙の新聞紙を使用しました。巻き取り時に糸の間に挿入する新聞紙は支障がなかったものの、捺染台の上(糸の下)に敷いた新聞紙については、糸との接着力が強く、巻き取る時に離れ難い現象が起きました。その様子は上記掲載の動画でご覧になれますが、今回の体験を経て次のような推論を得ました。

■捺染台の上(糸の下)に敷く新聞紙は、白紙よりも印刷されていた方が、インクの油成分が効果的に作用して落下を促す。
■昔の新聞紙の方が現在の新聞紙よりも少し厚かったようで、その重さが自然落下に適切だった。


 伊勢崎銘仙・併用絣の複雑な製造工程。その主な工程の裏に隠れて、更に細かくて貴重なノウハウや資機材、用具、材料が存在しています。新聞紙もその一つで、どの段階でも下記条件は必須です。

■カラー印刷面は使用不可。
■しわ一つなく延ばしてあること。


そして今回分かったことは、
■重さ(厚さ)やインクの油成分も重要であること。

 石井捺染さんには、昭和時代の新聞紙が、延ばし専用に手作りされた押し台に分厚く積まれ、上には重石を乗せられて使用される日を待っています(→新聞紙エピソード1,2)。昔は、そのように処理された新聞紙を専門に取り扱う業者さんもいたとのことです。(2016/4//13 記)

捺染を終えて箱に巻き取る作業。糸と糸の間に新聞紙を挿入します。 2016/3/9

巻き取る作業時、糸の下に敷いた新聞紙がくっ付いて離れ難くなっています。  2016/3/9

糸にくっ付いて離れ難い新聞紙  2016/3/9

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捺染作業場


捺染台の端部にセットした一玉(8反分)

作業場風景。今回の経糸(たていと)の玉は8反、8反、4反、4反。
捺染台は一反(約12.5m)に前後の余裕長(2〜3m程度)を加えた長さ。

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