昨日29日、群馬会館2階ホールにおいて、「群馬県希少野生動植物の種の保護に関する条例」特別講演会が開催されました。群馬県環境森林部自然環境課主催です。 群馬県環境森林部長・青木氏のあいさつに続き、「群馬の野生生物のおかれた現状について」と題して、群馬県立自然史博物館主幹・大森氏が群馬県内の野生生物の現状と絶滅危惧種の消滅要因などを説明。引き続き、群馬県環境森林部自然環境課長・松下氏が「群馬県希少野生動植物の種の保護に関する条例等について」と題して、条例制定の経緯を説明し、「希少生物を次代につなぐためには、条例だけでは不十分、県民一人一人ができる範囲で保護につながる行動を起こすことが大事」と結びました。 現在、群馬県内で特定県内希少野生動植物として指定されているのは下記11種類。 【動物】3種 オオモノサシトンボ、ゲンゴロウ、オオタニシ 【植物】8種 タチスミレ、アイズヒメアザミ、ナツエビネ、ムカデラン、ムカゴソウ、ノヤマトンボ、ニョホウチドリ、コウシンソウ 最後に特別講演として、早稲田大学国際教養学部教授・池田清彦氏が「希少な生きものを守るために今できること」と題して講演。 池田氏はテレビ番組『ホンマでっか!?TV』のコメンテーターとして有名ですが、専門は生物学。昆虫採取マニアとしても有名で著作も多数。テレビでもおなじみの飾らず率直な語り口で、時には逆説的説法を含めて、種の多様性、里山を守ることの重要性、ラムサール条約の経緯と意義、絶滅危惧種の特性、自然を守ることの重要性や視点など、多方面にわたり伝えました。以下、印象に残った池田氏の話です。 種の多様性には「遺伝的多様性」と「生態系多様性」とあること。条例制定も重要だが、絶滅危惧種対象から外せるような努力が重要。日本の自然は手を入れないと守れない。手入れを怠ると落葉樹・広葉樹は絶えて常緑樹が増え、多様性が下がること。その意味で「里山」を守ることが重要。 自然を守るために行政(税金)とボランティアに頼るケースが多いが、継続性に弱い。自然を守ることをビジネスにつなげる自由な発想も必要。養殖種や園芸種は販売できる。自然豊富な群馬県と都会とを結ぶエコツーリズムなども必要。 隔離された環境で守られている動植物は外来種に弱い。地球には人間だけが生きている訳ではない、蚊やハエも生態の一部。枯れ木は昆虫の棲家。過度な管理で絶滅する種もある。例えば糞を好むクソ虫などはその例。 クソ虫に関して昆虫マニアの友人たちと交わす話や、(昆虫の)オスは8割採取しても大丈夫、メスの採取は避けることなど、やや早口で軽妙に語る話に会場は大爆笑。池田氏が小笠原で発見した昆虫には氏の名前が付いて『オガサワラアオゴミムシ(Chlaenius ikedai)』と命名。やや「オタク」の世界を垣間見る後半の話は、『ホンマでっか!?TV』を観る思いで、楽しく時の経過がアッと言う間でした。 この日、1階席(258席)はほぼ満席、2階席(148席)は半分ほど埋まり、やや300名の聴衆が、終始熱心に聴き入っている様子でした。会場で、県議会議員で建設環境や生物学が専門の臂(ひじ)さんとお会いし、また伊勢崎市職員OBで昆虫マニアのSさん(→こちらで紹介)、同じくKさんなども見かけ、同好の士の思いで嬉しく思いました。 伊勢崎市や近隣をぶらりサイクリングし、珍しい草木と出会う度に道草し(→街中の花と緑)、庭の枯れ木や葉っぱは一ヶ所にまとめ、土に返るまで数年間放置し、一昨日も庭で羽化した40匹以上のアブラゼミを紹介(→こちら)した私も、少し背中を押された気分になりました。(2015/8/30 記) |
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あいさつ群馬県環境森林部長 青木 勝 氏 |
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群馬の野生生物のおかれた現状について |
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群馬県立自然史博物館主幹 大森 威宏 氏 | |
群馬県希少野生動植物の種の保護に関する条例等について |
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群馬県境森林部自然環境課長 松下 克 氏 | |
希少な生きものを守るために今できること |
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特別講演会講師 池田 清彦氏 | |
群馬県では、平成26年12月、「群馬県希少野生動植物の種の保護に関する条例(種の保護条例)」を制定し、本年4月から全面施行しています。 群馬県環境森林部自然環境課では、本条例の制定を機に、県民の希少野生動植物保護への意識を高め、その気運の醸成を図るために、下記要領で特別講演会を開催します。 1 日時及び会場(1)日時平成27年8月29日(土) 13時30分〜15時00分(開場は12時)(2)会場群馬会館2階ホール(前橋市大手町2−1−1)2 開催内容(1)特別講演会演題 希少な生きものを守るために今できること講師 池田清彦氏 (生物学者) (2)その他種の保護条例及び群馬県内の希少野生動植物種の現状について説明3 定員及び申込方法(1)定員400人(参加費無料・先着順)(2)申込方法●「氏名」、「年齢」、「住所」、「電話番号」を記入の上、郵送、ファックス、または電子メールのいずれかでお申し込みください。申込みの書式は自由です。 ●申込先 〒371−8570 前橋市大手町1−1−1 群馬県環境森林部自然環境課 FAX : 027−243−7702 E-mail : kanshizen@pref.gunma.lg.jp 4 その他本事業は、全国モーターボート競走施行者協議会からの拠出金を受けて実施します。 |
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