キンラン、ギンラン 2025 [ ぐんま緑の基金・伊勢崎地区 ] [ Home ]



群馬県伊勢崎市で自生する

キンラン、ギンラン 観察記録 2025

[ 伊勢崎市内のキンラン・ギンラン 記事一覧 ]

調査・観察会 2025/5/3

2025年の確認数|再調査日(5/45/55/7)|アルビノのキンランギンラン
掲載日:2025/7/29
 伊勢崎市某所で自生するキンランとギンラン現地調査・観察会が5月3日、開催されました。2015年以来、今年で11年目となる事業で、今年の参加者は下記16名でした。

・講師・・・群馬大学社会情報学部・石川真一教授
・参加者・・・地元区長会7名、保護保全職員4名、群大生2名、ほか2名。

 花径数の調査は、日を改めて5月4日、5日、7日の3日間で実施。
 5月4日には、ひじ伊勢崎市長が、また5月5日には「男井戸川遊水地のアサザ保護団体」のZさんが訪れてくれました。お二人とも、ご訪問ありがとうございました。

 今年確認したキンランは、2024年に記録した過去最多の329株から137株増えて466株(+42%)、ギンランは85株、合計551株、キンラン単独で、また総数として最多記録を+45%更新しました。

 今年の状況を概観すると、場所ごとの確認数の傾向は概ね過年度と同様でしたが、過去に一度も確認できなかった場所で1輪~9輪確認できたこと、また過去数年にわたり咲いた場所で、今年は確認できなかったことなどの変化がありました。
 日当たりが良過ぎて乾燥した場所では年々減少し、一日中樹木に覆われ、時間帯により木漏れ日が差す程度の場所では年々増える傾向があります。

 昨年確認したキンランのアルビノは今年も同じ場所で確認できました。アルビノは色素が突然復活することはないのでしょう。

 今年は縁あって、伊勢崎市史編纂の植物担当のお三方を案内することになりました。案内したのは5月9日と14日。見頃は過ぎていましたが、咲き残ったキンランとギンランを見ていただきました。当地のギンランには「キョ」が見当たらず、「ヤビツギンラン」ではないかとの指摘を受けました。植物に造詣が深い皆さんと同行できたことは光栄でした。次回の伊勢崎市史には、キンランとギンランのことが何らかの形で反映されるかも知れません。(2025/7/29 記)

 群馬県で絶滅危惧種IB類(2022年改訂版)(*1)に指定されているキンランとギンラン。伊勢崎市の某所で平成10年(1998年)に茎が確認され、2015年春には約30株の開花を確認。その年、平成27年度ぐんま緑の県民基金市町村提案型事業の対象となり、以来、保護保全活動が行われています。(→詳しくはこちら

(*1)群馬県では絶滅危惧種IB類(2022改訂版)、環境省レッドリスト2020(2019度改定)では絶滅危惧II類(VU)と指定。

2025年のキンラン、過去最多を4割強更新し551株

▲ページTopへ
 敷地が広いので、調査精度を上げるためと作業を進め易くするため、全区域を16ブロックに分割して調査。2021年以降採用した方法です。開花・未開花を区別せずにカウントしましたが、未開花株のキンラン・ギンランの識別は、茎や葉の太さ、大きさ、周囲の開花株、過年度の記録などを考慮しました。

キンラン・ギンラン 確認株数

調査ブロック 調査日 調査時間 キンラン ギンラン
1
2
3
4
5/4 10:05~12:58 57
1
19
180
1
34
0
4
5
6
7
8
9
10
11
12
5/5 9:35~11:37 4
4
94
0
11
0
5
13
0
0
2
0
16
0
0
0
13
14
15
16
5/7 10:08~12:05 4
7
67

0
0
0
28
0
合  計 466 85
・ブロック7におけるキンランのうち、2本はアルビノ

キンラン・ギンラン

過去記録

キンラン ギンラン 合計
2015 約20 約8 約28
2016 * * 約50
2017 * * 50超
2018 100超 100超 200超
2019 100超 100超 200超
2020 * * 190
2021 204 80 284
2022 266 114 380
2023 321 59 380
2024 329 48 377
2025 466 85 551

*:キンランとギンランを区別せず、総数で調査した。

キンラン・5月4日調査分

▲ページTopへ
後日掲載

キンラン・5月5日調査分

▲ページTopへ
後日掲載

キンラン・5月7日調査分

▲ページTopへ
後日掲載

アルビノのキンラン

▲ページTopへ
後日掲載

※アルビノ:組織の一部または全体が白くなった変異のうち、突然変異などの遺伝的な原因で生じたものをアルビノと呼ぶ。植物ではアルビノは色素体突然変異 (葉緑体変異) と言う。

ギンラン

▲ページTopへ
後日掲載

キンラン、ギンランについて

▲ページTopへ
 以下、キンランに関するWikipediaの記事引用です。太字と赤色、下線はサイト管理人・丸男が付記。以前の紹介ページにも掲載した内容ですが、重要事項なので再掲します

【性質に関して】

 キンランの人工栽培はきわめて難しいことが知られているが、その理由の一つにキンランの菌根への依存性の高さが挙げられる。多くのラン科植物の場合、菌根菌は落ち葉や倒木などを栄養源にして独立生活している腐生菌である。ところがキンランが依存している菌は腐生菌ではなく、樹木の根に外菌根を形成する樹木共生菌である。
<中略>
 外菌根菌の多くは腐生能力を欠き、炭素源を共生相手の樹木から供給されているため、その生存には共生関係を成立させうる特定種の樹木が必要不可欠となる。そのような菌から栄養分を吸収しているキンランは、樹木の作った栄養を、菌を通じて間接的に摂取しながら生きているとも言える。
<中略>
 このような性質から、キンラン属は菌類との共生関係が乱された場合、ただちに枯死することは無いが健全な生長ができなくなり、長期間の生存は難しくなる。自生地からキンランのみを掘って移植した場合、多くの場合は数年以内に枯死する。
<中略>
 現在のところ、一般家庭レベルの技術で共生栽培を成功させる手法は確立されていない

【保全状況】

 元々、日本ではありふれた和ランの一種であったが、1990年代ころから急激に数を減らし、1997年に絶滅危惧II類(VU)(環境省レッドリスト)として掲載された。また、各地の都府県のレッドデータブックでも指定されている。
 同属の白花のギンラン(学名:C. erecta)も同じような場所で同時期に開花するが、近年は雑木林の放置による遷移の進行や開発、それに野生ランブームにかかわる乱獲などによってどちらも減少しているので、並んで咲いているのを見る機会も減りつつある。



▲ページTopへ