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優雅な勤め

掲載日:2015/12/18
渡辺千賀さんという方が、2008年に開示されたアメリカの公文書を訳しています。以下に記載します。

一定の組織内では、

スピーディーに物事を進めると先々問題が発生するので賢明な判断をする「道理をわきまえた人」を大切にする。
可能な限り案件は委員会で検討する。委員会は最低でも5人以上とする。
何事も指揮命令系統を厳格に守る。意思決定を早めるための「抜け道」を決して許さない。
組織的位置づけを大切にする。
これからしようとすることが、本当にその組織の権限内なのか、より上層部の決断を仰がなくてもよいのか、と言った疑問点を常に考慮する。
前回の会議で決まったことでも問題を感じたら再討議して検討する。
なるべく紙面にて詳しく報告する。
文書は細かな言葉も大切にする。
重要でなくとも解り易く完璧な仕上がりを心がける。
業務があっても会議を優先する。
業務の承認手続きを、一人に任せず3人で承認するようにする。
すべての規則を厳格にまもる

・・・・・・・・少々ですが文章は解り易く変更しています。

官庁や役所、大きな企業では、これらの事項をほぼ順守して日々の仕事をしているだろうと思います。
日本だけのことなのか、海外でも同じような会社組織になっているのか知識不足ですが、大きな組織だとほぼこのようになっていて、日本人にとっては一般的な業務姿勢です。(そういう所で務めた経験がないので、想像ですが)

しかし、実はこの文章は、CIAの前身機関が、第二次大戦時に敵国内に入り込んだCIAのスパイを敵国の組織の生産性を落とすために「簡単にサボタージュさせる方法」として考えられたガイドです。

米国の知能が並外れて優れていることに驚くが、 今の会社組織のありようが変なのはこのせいかと思われる方より、 どうして?と思われる方・混乱される方の方が多いのではないかと思います。
それほどに内面化されています。

このガイドは、組織を停滞させ、業務の遂行を速やかにさせない方法を述べているのです。
そうすることによって国力を下げさせるための方策です。
これをどういう風に考えるかは、それぞれでしょうが、文面が嘘っぱちととるか、戦後アメリカCIAが、日本の中枢に入り込んで、官僚たちを丸め込んだのか、どちらかでしょう。

かつて、書いたことがありますが、レーガン政権の時代、アメリカでは現在脅威に感じていることをリストアップさせる機関に詳細を報告させました。
ソビエトとの冷戦時代でありながら、ソビエトとの確執より、日本からの輸入が多すぎることが一番の脅威問題事項であると検討されました。
検討するとは、日本の企業の終身雇用を止めさせるとか年功序列を止めさせ、生産力を落とすことと時の下村治(池田隼人首相の経済顧問)が、のちに書いています。下村さんもこのガイドは知らなかったでしょう。
その頃のアメリカは貿易赤字が急激に増え続けていたのです。
自国で、自国の消費者向けの商品を開発することでなく、優良商品であった日本のものを輸入したせいです。
自分の成績を上げるより、同級生の成績を下げるほうが簡単と言う考えと同質な思考経路におちいり、日本をどうにかしようと思ったとき、このガイドが役に立ったと思われます。
日本が戦後、著しい経済発展を遂げたことは、その時代には猛烈サラリーマンたちの活躍で輸出が順調に伸びたのだから、レーガンが報告を受け取って以降、ガイドを活用したとみるほうが自然かもしれません。
アメリカには心理学、経営学等日本が学びたい最先端科学が発展していましたので、日本の官僚たちは、いとも簡単に「ガイド」を信じたのではないでしょうか。


次に、組織が最も効率よく機能する方法を考えている方の方策を述べてみます。

「出来るだけ会議をしない」
「ペーパーワークを課さない」
「問題点を探さない」
「問題が見つかったら、」笑い話にして、高笑いする。
こんな会社があれば勤めてみたいと思われる方と、こんなことでは事業は経営できないと思われる方がいるだろうと想像できます。

人は、他人の話を聞かない生き物です。
だから上下の規律の厳しい組織内では渋々従い、言われたことだけをこなすことになります。これがいいかな、とか、こうすればいいかな、とか考えることも止めてしまいます。
抑圧、規制があればあるほど行為は萎縮するので、出来る限り自由に任せるほうが生産性は上がるでしょう。
少々問題を感じても放任することです。失敗をしない人類はおりません。
渋々やるか、やる気でやるかの差は大きいでしょう。
上の上司も下の上司も、それぞれの部下の能力を十分発揮してもらうには、そのほうがいいでしょう。
組織に入って働きたい意欲のある者は、自分で考え、自分で処理すると達成感も得られ、組織に愛着を感じられます。
おおよそ、そんな理由で書かれた組織論だと思われます。

この方法だと、かつての、和気あいあいとした雰囲気が会社に戻ってくるのではないでしょうか。
優雅に会社勤めができそうです。
まあ、仕事自体が優雅かどうかは問題ですが、無駄話があっても社内が明るいほうがいいでしょう。

近藤 蔵人 27年12月1日



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