伊勢崎市磯町の「小菊の里」方面へサイクリングする時、たまにその足を更に北方向へ伸ばし前橋市粕川町(前橋市へ合併前は勢多郡粕川村)の集落内をぶらりサイクリングします。 粕川町は、磯町の北隣の西野町を介して伊勢崎市と接しているので、隣の市とは言え、遠い感じがしません。地形は伊勢崎市の赤堀地区よりも更に赤城山の勾配を感じ、等高線に沿った道を走る時は快適ながら、南北の縦断方向を走る時や峰岸山のような丘陵を越える時などには結構ハードで、太ももの筋力トレーニングになります。そんなアップダウンを繰り返しながら集落内を気ままにサイクリングすることもまた楽しいことで、どこか遠くの知らない街への一人旅にも匹敵します。 ![]() そんな気持ちで訪れる前橋市粕川町、小菊の里から北西方向に直線距離で1.5kmほどの場所に、大きなレンガ煙突が立つ建物があります。大きなレンガ煙突と言えば、真っ先に思い浮かぶのが酒造の蔵元。先日紹介した太田市由良町(旧群馬県新田郡宝泉村)の島岡酒造さんも大きな赤レンガ煙突が目印でした。 こちら粕川町の建物に最初に巡り合ったのがいつ頃だったのか記憶が定かではありませんが、最初の訪問時点で既に無人化していて、門も閉まったままでした。ここが醸造元なのか、何か別の工場のような施設なのか分からないまま月日が経ち、ある日、急に思い付いて煙突に取り付けられた名前を頼りに調べると、銘酒「聖人」や「大吟醸 稲のしずく」の伴内酒造さんの蔵元でした。 ウェブで「聖人」、「伴内酒造」さんをキーワードに検索すると、情報誌「好きですまえばし」第10号に辿り着き、同誌によれば、創業は明治9年(1876年)で、このように紹介されています(以下、同誌から一部引用)。
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![]() 銘酒「聖人」の伴内酒造さんの煙突 2012/10/8 |
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現地では建物が閉じていましたが、別の場所に移転したのだろうかと更にウェブで調べると、伴内酒造さんは既に廃業したとの情報もあります。不確かなことも紹介できないので、本日電話で問い合わせると、10年ほど前に製造を終了し、建物も現在は使用していないとのことでした。 赤城山麓の伏流水を使用した地元蔵元の日本酒「聖人、稲のしずく、よかんべ」。その酒を口にできないこと、またおよそ130年の伝統が消え去ってしまったこと、つくづく残念なことです。 以下に掲載するのは、2012年10月8日に周囲から撮影した写真です。できれば操業している時に訪れたかったものです。(2014/10/31 記) (*)情報誌「好きですまえばし」第10号、平成12年11月1日発行、企画・監修/前橋市観光協会 【問い合わせ先】 前橋市商業観光課(027-224-1111)、前橋商工会議所業務課(027-234-5111) |
敷地は広く、いくつもの建物が建っています。現在は閉鎖しているので周辺から眺めさせていただくだけですが、操業中は予約すれば蔵見学もできたとのことです。 世界中の酒が自由に流通し、様々なアルコール飲料が製造される現在、日本伝統の酒が逆風を受けて消え去った話はよく耳にしますが、日本文化や和食が世界の中でアイデンティティーを確立しつつある昨今、日本酒が復活する日も遠からずかも知れません。 一旦消えた操業130年の伴内酒造さんも是非、復活していただきたいものです。 |
![]() Google地図の航空写真 |
赤レンガ煙突や蔵 |
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![]() 東側の正門から見る煙突や白壁の蔵、店の建物。 2012/10/8 ![]() 操業中は右側の建物でも販売していたようです。 2012/10/8 |
寸景、遠景 |
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![]() 東側の道路は緩い勾配が付き、施設をより立体的に見せています。 サイクリングで下ると快適です。 2012/10/8 |
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![]() 東側の通り沿いの蔵 2012/10/8 ![]() 2012/10/8 |
![]() かつての店の入り口付近 2012/10/8 ![]() 2012/10/8 |
![]() 敷地南西側から。広い敷地が伺えます。 2012/10/8 |